挑戦的な研究にじっくり10年間トライできる研究助成プログラム「稲盛科学研究機構(InaRIS)フェローシップ」。運営委員やフェロー同士が研究内容について議論を交わす「アドバイザリー・ボード・ミーティング」が10月26日、京都市内の稲盛財団で行われました。
InaRISは、短期的に成果を求めるのではなく、好奇心の赴くまま存分に、壮大なビジョンと大きな可能性を秘めた研究に取り組んでもらおうと、2019年に設立されました。助成金額は毎年1,000万円、10年間にわたり総額1億円を支援します。今年の春に、高柳匡氏(京都大学基礎物理学研究所教授)と野口篤史氏(東京大学大学院総合文化研究科准教授)の2人が、初めてのフェローに決まりました。
まずは中西重忠機構長が「このプログラムの特徴のひとつは、10年間におよぶ長期的な支援をすることで、研究者が思う存分に新たな展望の可能性を追求できること。真のブレイクスルーにつながるような研究をぜひ展開してほしい」とあいさつ。その後、稲盛財団の金澤しのぶ理事長からフェロー2人に、認定書が渡されました。
その後、フェローの2人が10年間にわたる研究のビジョンを発表。高柳氏は「我々の分野は、一人で考えるのではなく誰かと議論しながら考えることが大切。学生や共同研究者と活発に議論しながら、ミクロな重力の理論を理解したい」と話しました。また、野口氏は「超高精度な量子制御技術によって量子誤り訂正を実現し、量子ビットのデジタル化を目指したい」と意気込みを語っていました。