「京都大学ー稲盛財団合同京都賞シンポジウム(KUIP)」が6月29日、東京都千代田区大手町の日経ホールで開かれました。
KUIPは、京都賞受賞者らの講演や討論を通じて、次世代の研究者の育成や研究の魅力を社会に発信しようと、2014年から毎年開催されています。6回目となる今回のテーマは、人間の眼のようにコンピュータに画像や動画を認識させる「コンピュータビジョン」。会場には450人の聴講者が集まり、最先端の研究の話を真剣な表情で聞きいっていました。
「新しいこと自体には価値はない。その研究はどれほどの社会的なインパクトがあるか、いかに役に立つかが大事」。2016年に京都賞先端技術部門を受賞した、カーネギーメロン大学の金出武雄博士は、自身の研究の哲学についてそのように語りました。アメリカ最大のスポーツイベント「スーパーボウル」を多数のカメラで撮影した「Eye Vision」や、自動走行車でのアメリカ大陸横断など、ユニークな研究プロジェクトについて振り返り、「問題はあなたが解いてくれることを待っている」と次世代を担う人たちに呼びかけていました。
その後のパネルディスカッションでは、京都大学の山極壽一総長が「私たちはいま曖昧な世界に生きている。しかし、これからは曖昧さは許されなくなるのではないかと感じた」などと指摘。講演した研究者らがそれぞれの考えを述べて意見を交わしていました。