京都の名所や人々の生活のようすを鳥の視点で描いた「洛中洛外図屏風」(池田本)を観察する動画を、身の回りの不思議を見つけるウェブサイト「キヅキランド」に追加しました。アート系の動画は今回が初めてです。動画に用いた洛中洛外図屏風は林原美術館(岡山県)が所蔵しているもので、国の重要文化財に指定されています。
キヅキランドは、日常の何気ない風景をとらえた動画を観察し、不思議に思ったことや発見したことを動画に直接書きこみ、他の人と共有することができるウェブサイトです。動画の追加にあわせて、美術教育者の末永幸歩さんを招いて、キヅキランドを体験するオンラインワークショップを、2023年1月14日(土)に開催します。
洛中洛外図屏風とは
「洛中洛外図屏風」とは、今から400年ほど前の京都の市中の様子を描いた屏風絵のことです。江戸時代以前から複数制作されており、その多くは右隻と左隻がセットになる「六曲一双」の形式で仕立てられています。このうち林原美術館所蔵の「洛中洛外図屏風」は、元和年間(1615~24)頃の制作と考えられ、江戸時代以降代々岡山藩主をつとめた池田家に伝わったことから、「池田本」ともいわれています。右隻には伏見城や東福寺、清水寺のほか、天皇が住んでいる御所があり、また左隻には、江戸幕府初代将軍の徳川家康が築いた二条城をはじめ、京都の歴史・文化を伝える建物や景観が緻密に描かれています。
重要文化財 洛中洛外図屏風 紙本金地著色 六曲一双 江戸時代
各 縦174.5㎝ 横388.0㎝
林原美術館・学芸員のコメント
林原美術館所蔵の「洛中洛外図屏風」は、なんと3,000を超える人々が描かれており、現存する中でも特に人物描写が多いことで知られています。一般的に「洛中洛外図屏風」は、金雲の間から町並みを見渡すような構図で描かれ、祇園祭や婚礼の行列、名所を訪れる様子など、上空から京都の景観を一望できる贅沢な作品になっています。今回のプロジェクト動画ではぜひ、活気に溢れた人々の日常を覗きながら、人物の表情や装いにも注目してみてください。面白い発見があるかもしれません。
キヅキの例