稲盛財団は、京セラ株式会社創業者の稲盛和夫により1984年に設立され、「京都賞」顕彰、研究助成、社会啓発の三つの事業を柱として活動してまいりました。なかでも「京都賞」は、創設以来、公平かつ厳正な選考を守り続け、すばらしい受賞者を選んできたことが、国際賞としての評価につながっていると自負しております。
しかし近年、私たちを取り巻く環境は大きく変化し、感染症の脅威や世界平和の危機などによって、財団でも京都賞授賞式の開催を見送るなど活動をセーブせざるを得ませんでした。そして、平和で安心な社会でなければこうした活動は成り立たないと、改めて考えるきっかけとなりました。
現在、財団では従来の活動に加え、新たに基礎研究に長期の大型助成を行うプログラムや、子どもたちの自発的な探求心を喚起し育てるプロジェクト、芸術をもっと身近に感じていただける機会の創出などに取り組んでいます。これらの事業を通し、さまざまな角度から皆さまのお役に立てる活動を目指してまいります。
財団活動の根底に流れる「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」との理念は、設立時から変わりません。私たちは、常にこの理念に照らして、その時代に求められる事業に真摯に取り組み続けていきたいと考えております。
公益財団法人 稲盛財団
理事長 金澤 しのぶ
