稲盛財団は、5月20日、2025年度の稲盛科学研究機構(InaRIS: Inamori Research Institute for Science)フェローシップの申請受付を開始しました。
InaRISは、短期的に成果を求めるのではなく、好奇心の赴くまま存分に、壮大なビジョンと大きな可能性を秘めた研究に取り組んでもらおうと、2019年に設立されました。1人につき10年間継続・総額1億円の助成を行います。プログラム設立から6年目を迎える現在は、10名のフェローがそれぞれに新たな展望の可能性を追求する研究に取り組んでいます。
今年度の募集対象は「数学の深化と展開」で、2名の採択を予定しています。募集要項や申請要件については、稲盛科学研究機構「InaRIS」のページをご確認ください。また募集対象の説明動画 も併せてご覧ください。
数学の深化と展開
数学は、文明の最深部にあって科学全体の基盤をなす学問分野です。具体的な事物を離れて思索の中で育まれるのが数学理論で、多くの場合、数学独自の問題を探求する中で生まれて来ました。そうして生まれた数学理論が、現実の世界の構造を見事に描き出すという例を我々は幾つも見てきました。また、創出者が思いもしなかった方法で数学理論が役立っている例も数多くあります。その不思議さが数学という学問を支えています。現代の世界は、社会・産業の変化、コンピュータとネットワークの発展、蓄積され続ける巨大データ群のなかで、大きな変貌を遂げつつあります。この世界を捉え直し自然や社会の構造を明らかにするために、新しい発想を生み、その理論を確立し、さらに実現へと導く数学的手法は、人類社会の維持にとってますます重要になりつつあります。その意味で、新しい数学理論の構築は、未来の社会基盤を変える大きな力になる可能性があるものです。数学の大きな課題に挑み、それを解決する中で、新しい数学理論の構築を目指す革新的な研究提案、あるいは、他分野との融合領域の開拓において、学術的な価値、あるいは、人や社会への有⽤性の観点で、卓越した研究提案を募集します。
研究の主要な狙いや目標の例:
- 数学の問題の探求と新しい数学的概念と問題の創出
- 自然や社会を捉えるための新たな数学的手法の創出
- 数学と生命科学・情報科学などの分野の学際領域開拓
*8月7日更新 2025年度InaRISの申請受付は終了しました。多数のご応募ありがとうございました。