稲盛財団は、本年で3年目となる「INAMORI ミュージック・デイ」を開催しました。このプログラムは、学生や一般の方々に、文化芸術のすばらしさを再発見し、人生をより豊かにするための機会を提供したいという思いから生まれました。
京都市交響楽団と招聘アーティストとともに毎年11月3日「文化の日」に行うシンフォニックコンサートを中心に、美術館でのミニコンサート、京都府内の高校でのスクールコンサート&レッスンといった様々なイベントを開催しています。
「INAMORI ミュージック・デイ 2024」シンフォニックコンサート
本年から改めて「シンフォニックコンサート」と題し、岡崎公園のロームシアター京都にて開催しました。ホールには一般の聴衆に加え、中学生・高校生・留学生など公募による無料招待者を含めた約1,500人が来場しました。本年は指揮者のジョン・アクセルロッド氏、ヴァイオリニストの三浦文彰氏、そしてチェリストのユンソン氏が京都市交響楽団と共演しました。アクセルロッド氏は、現在、スイス国立管弦楽団の音楽監督兼首席指揮者とブカレスト交響楽団の首席指揮者を務めており、これまでに京都市交響楽団の首席客演指揮者を含む数々の音楽監督や指揮を歴任してきました。三浦氏は世界最難関と言われるハノーファー国際コンクールにおいて史上最年少の16歳で優勝、ロサンゼルス・フィルをはじめ世界の名だたるオーケストラや指揮者と共演し、NHK大河ドラマ「真田丸」のテーマ曲演奏でも話題になりました。ユンソン氏は9歳でソウル・フィルにデビュー、母国韓国の文化大使として60カ国200都市以上で公演を行ったほか、KBS(韓国)のラジオ音楽番組でホストを務めるなど、韓国クラシック界を代表する存在です。
コンサートはソリスト二名による協奏曲、ブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102」で幕を開けました。ヴァイオリンとチェロ、そしてオーケストラそれぞれの響きが艶やかに重なりあい、幻想的な音の世界を創りあげました。盛大な拍手に応えて、アンコールではヴァイオリンとチェロの二重奏曲、ハルヴォルセン「パッサカリア(原曲:ヘンデル)」が演奏されました。その情熱的かつ繊細なアンサンブルに会場は熱狂に包まれました。
後半はドヴォルザーク「交響曲 第9番 ホ短調 作品95 『新世界から』」が演奏されました。ときに勇壮な、ときに懐かしさを感じさせる響きにホールが満たされ、最後はアンコール曲のブラームス「ハンガリー舞曲 第1番」の流麗なハーモニーで幕を閉じました。
「INAMORI ミュージック・デイ 2024」ミニコンサート
京都市交響楽団メンバーによるアンサンブルの演奏が京都を代表する二つの美術館で行われました(8月10日京都市京セラ美術館、9月15日と10月13日京都国立近代美術館)。各開催日には弦楽三重奏やバセットホルン二重奏など、それぞれ異なる編成が出演し、懐かしい童謡から演奏者自身のアレンジによる熱いソロまで、個性豊かな演奏を繰り広げました。いずれの回も会場は盛況となり、盛大な拍手で幕を閉じました。
「INAMORI ミュージック・デイ 2024」スクールコンサート&レッスン
10月31日、指揮者のジョン・アクセルロッド氏、ヴァイオリニストの三浦文彰氏、チェリストのユンソン氏を京都府立宮津天橋高等学校に迎え、スクールコンサート&レッスンが行われました。コンサートでは、三浦氏とユンソン氏のデュオで「パッサカリア」などが演奏され、ヴァイオリンとチェロの織りなす美しく豊かな音色が会場全体を包み込み、生徒達を魅了しました。
演奏に続いて行われた質疑応答では、本番前の緊張をどうしているのかという生徒からの質問に対し、三浦氏は「やはり本番前はとても緊張するが、毎日の基礎練習が本番での自信を与えてくれる。直前には周りの人に話しかけて緊張をやわらげている」と答えていました。
続く吹奏楽部へのレッスンは、アクセルロッド氏の人柄そのもののような和やかな雰囲気の中で行われました。レッスンの終わりには、「音楽を楽しむのにプロになる必要はありません。芸術で表現するのに天才である必要はありません。素直に自分自身であってください。そして自分の好きなことをやってください」と、生徒たちにエールを送りました。
見学した生徒からは「吹奏楽部員の表情や演奏が、いきいきと変化していくのが分かった」、レッスンに参加した吹奏楽部員からは「ジョンさんの指揮からは楽しさや自信が伝わってきて、自分達もどんどん乗ってきた。普段はテンポや正確さに気を取られて表現がおろそかになっていたかもしれない。楽譜にとらわれず、表現を自由に楽しむことも大切にしたい」という感想が寄せられました。
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