ポーランドと日本をつなぐ架け橋に!
—日本美術技術博物館 開館30周年

11月30日、ポーランド・クラクフにある日本美術技術博物館「Manggha(マンガ)」にて、開館30周年記念式典が盛大に行われました。同館は、第3回(1987)京都賞思想・芸術部門(*)を受賞したポーランド映画の巨匠、アンジェイ・ワイダ監督(1926-2016)がその賞金をもとに日本美術を紹介する拠点の建設を志し、1994年、ワイダ監督夫妻による情熱、そしてポーランドと日本両国の多くの支援によって設立されました。(*1987年受賞当時の部門:精神科学・表現芸術部門)

式典に稲盛財団も招待を受け、檜物省一常務理事が財団を代表して出席しました。

日本美術技術博物館Mangghaのノヴァク館長

式典の概要

式典では、同館のカタジナ・ノヴァク館長の挨拶に続き、Mangghaと深い縁を持つ高円宮妃久子殿下からの心温まるビデオメッセージが上映されました。在ポーランド日本大使や両国の関係者が祝辞を述べ、檜物常務理事も登壇し祝意を表しました。式典の最後にはワイダ夫人がManggha30年の歩みを振り返り、会場は感動に包まれ、出席者からは大きな拍手が送られました。ポーランドと日本の長年にわたる文化交流を再確認する貴重なひとときとなりました。

写真左上:スクリーンに投影されるアンジェイ・ワイダ監督、左下:スピーチをするワイダ夫人

式典後には地元音楽家によるピアノと弦楽四重奏のミニコンサートが行われ、華やかな音色が会場を彩りました。その後のパーティーでは、両国の関係者が和やかな雰囲気の中で交流を深めました。参加者からは以下の感想が寄せられました。

ポーランド人20代男性:「Mangghaで茶道を学んでいます。以前日本に留学した際には、京都賞授賞式で裏千家の一員としてお茶を呈する機会もいただきました。茶道を通じて心を通わせる瞬間がとても好きです。ワイダ監督、Manggha、そして京都賞のおかげで、これらの貴重な経験を得られたことに心から感謝しています。」

ポーランド人30代女性:「ワイダ監督が京都賞を受賞した1987年に生まれました。子どもの頃、学校の遠足で訪れたMangghaがきっかけで日本文化に興味を持ちました。当時、ポーランド人のワイダ監督がなぜ日本で有名なのか不思議に思ったことを覚えています。その後、ワイダ監督の映画を観たり、日本美術に触れるようになり、現在はMangghaで働いています。」

特別展と関連イベント

式典と同日に、ワイダ監督夫妻の足跡を辿る特別展も開幕。展示には1987年の京都賞授賞式での写真や京都賞メダル、ディプロマ、ワイダ監督が京都訪問時にスケッチした金閣寺・清水寺の絵などが並び、来場者の関心を集めました。

翌日にはポーランドの子どもたちが参加する習字や折り紙教室が開かれ、式典前日には能の公演も行われ、会場は熱気に包まれました。Mangghaはポーランドと日本の文化交流の拠点として、クラクフ市民に欠かせない存在であることが実感されました。さらに、クラクフ市内では30周年記念の展覧会ポスターが掲示され、市民や観光客の注目を集めています。

日本での展覧会

一方、日本では現在、東京・国立映画アーカイブで「映画監督 アンジェイ・ワイダ」展が開催中です(~2025年3月23日)。本展では、Mangghaのコレクションを中心とした資料群やワイダ監督の代表作が展示され、監督の映画人生とポーランドと日本の文化的つながりを深く知ることができます。さらに、2019年にクラクフで開催された大規模回顧展の初の海外巡回展としても注目されています。詳細はこちらをご覧ください。

(取材:稲盛財団広報部、写真協力:Kamil A. Krajewski)

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