齋藤 充史 Atsushi Saito

札幌医科大学 医学部助教※助成決定当時

2019稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
網羅的菌叢解析から探る、肺マイクロバイオームに与える肺コレクチンの新たな役割
キーワード
研究概要
技術の進歩に伴い、これまで無菌と考えられていた下気道にも多様な細菌叢の存在が明らかとなり、COPDや気管支喘息など難治性呼吸器疾患に対する呼吸器細菌叢の関与が示唆されています。我々も当初から肺マイクロバイオームの呼吸器疾患に対する関与に注目し研究を進め、その一環として特発性肺線維症(IPF)におけるマイクロバイオームについて着目し、多様性喪失や特定菌種がIPFの病態に大きく関与することを明らかにしました。
このように病態と細菌叢の関係性は明らかになりつつありますが、肺の自然免疫と細菌叢の関係は不明な点が多く残されています。肺コレクチンのSP-AとSP-Dは肺サーファクタントの構成成分として気道・肺胞系に存在し、肺における病原微生物の侵入阻止、過剰な炎症の抑制など、肺の自然免疫・生体防御において中心的な役割を担っていますが、肺マイクロバイオームとの関連性は不明でした。肺コレクチンの肺マイクロバイオームに与える影響を検討し、肺の自然免疫の新たな解明に繋げたいと考えています。

助成を受けて

稲盛財団は生命科学だけでなく工学などいろいろな分野の研究者を応援してくださっています。私も微力ながらその助成を力に日本発の研究成果を出せるように努力したいと思います。

領域が近い研究者を探す

生物・生命系領域