稲盛財団の設立者である稲盛和夫は、病を患った少年時代、またその後の進学や就職の際に多くの方々に助けられた経験から、人間一人では何もなしえないことを実感し、人間の本源とは何か、また人間はいかに生きるべきかを若い頃から深く考えるようになりました。
1959年に京セラを設立した後も、稲盛は経営者として様々な困難や試練に遭遇し、悩み苦しむなかで、再び、人間としていかに生きるべきかを常に自分に問いかけていました。そして「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」との信念を持つに至り、生涯にわたってこれを実践すべきであると確信しました。
稲盛は、いろいろな機関や団体から賞をいただく栄誉に恵まれたことをきっかけに、かねてからの「人のため、世のために尽す」という人生観を具現化するため、約200億円相当の私財を拠出し、1984年に稲盛財団を設立、翌年より事業を始めております。
稲盛は「この財団活動を通じて、人類の進歩発展に貢献できれば、私自身を、そして京セラを今日まで育ててくださった地域社会をはじめ、日本、世界全体に対して多少なりとも恩返しができるのではないか」と語っています。