このたびは本研究課題を助成対象として選んでいただき、誠にありがとうございます。今後の社会において「学校教育において創造性を育成すること」が重要になると考えられます。本研究では、その実現に向けた研究を実証的に行い、学校教育に埋め込み可能な創造性育成モデルを提示したいと考えております。
本研究は、学校教育において創造性を育成する方法論を構築することを目的としている。学校現場に埋め込み可能なモデルとして、問題を自身で作成する「作問学習」をベースとする「問題変形作問」を開発した。問題変形作問は、与えられた問題を、根拠を持って変形・改良する作問学習の変種であり、対象となる問題の構造理解を促すことが期待される。また、問題変形作問により、自身にとって新しい問題を、根拠を持って作り出す創造性(small-c)を高めることが期待される。そして、問題変形と外部尺度である創造性テストとの関連性を検討する実験を行い、隠されたパラメータの発見と、パラメータを組み合わせて変形している被験者の創造性は、そうでない被験者と比較して有意に創造性の得点が高かった。このことから、自身にとって新しい問題を作り出す創造性を育成するための基礎的知見が得られた。現在、上記の知見に基づいた問題変形作問学習支援システムを試作し、研究を進めている。
人文・社会系領域