岩下 拓哉 Takuya Iwashita
大分大学 理工学部准教授※助成決定当時
2020稲盛研究助成理工系
- 採択テーマ
- 水溶液物理学の構築:粘度異常の分子論描象
- キーワード
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- 研究概要
- 我々の社会を支える科学技術において「塩」は必要不可欠な材料であることは疑う余地のない事実である.例えば,薬剤や蓄電池,食品,化粧品や塗料などに至る幅広い分野で使用されており,特に,物性制御のための添加剤としての役割を担っている.しかしながら,塩が物性に与える効果は,実験による経験則に基づいた定性的な解釈や説明に留まり,どのような原理に従い,塩の効果が発現しているのか?については未解明のままである.本研究の目的は,NaCl水溶液を代表とする塩化物水溶液の粘度を物理学的な観点から明らかにすることである.特に,着目すべき現象は、非自明な濃度依存性を示す水溶液の粘度挙動である. この分子論描像を構築するために,水溶液の粘度および誘電緩和測定,非弾性X線散乱,計算機シミュレーションを融合し,水溶液の粘度の背後にある物理の理解を目指す.