多成分連結反応は昔から存在する古く新しい反応ですが、高分子科学に積極的に活用されるようになったのはごく最近のことです。本助成により、新しい高分子合成の達成につなげられれば、と思います。
多成分連結反応とはその名の通り、三成分以上の反応基質が反応し、単一の生成物を与える反応群のことです。様々な有機反応が高分子合成へと展開されていますが、その複雑さから、高分子化学への展開は限定的でありました。
本研究では、多くの多成分連結反応の中からアルデヒド、アミン、α-スルホニルイソシアニドの間のvan Leusen三成分連結反応(vL-3CR)に着目し、イミダゾールを有する高分子の合成を展開しました。具体的には、vL-3CRが高分子の変換反応である高分子反応や重縮合反応に十分に適用可能であることを萌芽的に明らかにしました。以上、今後の反応基質の更なる最適化や適切な溶媒の選択により、金属吸着等の応用展開を見込んでいます。
理工系領域