小林 優介 Yusuke Kobayashi

茨城大学 大学院理工学研究科助教※助成決定当時

2021稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
母性遺伝の分子メカニズムに迫る
研究概要
ヒトを含めた真核生物の細胞には、細胞核に加えてミトコンドリアにもゲノムDNAが存在します。さらに植物では、葉緑体にも葉緑体DNAが存在します。有性生殖では、雌雄の細胞核ゲノムが混ざることで、効率よく遺伝的多様性を持った子孫を誕生させることができます。一方で多くの動植物では、ミトコンドリアや葉緑体の遺伝情報は母親からのみ遺伝することが知られています(母性遺伝)。これまでの説では、卵子のサイズに比べ、精子は非常に小さく、受精卵に持ち込まれる父親のミトコンドリア/葉緑体DNAの量は限られるため、母性遺伝は起きると考えられてきました。しかし、雌雄の配偶子のサイズが全く同じ(同型配偶子)生物でも母性遺伝が観察され始め、母性遺伝は雄由来のミトコンドリア/葉緑体DNAを積極的に排除することで引き起こされていることが分かってきました。私は、同型配偶子生殖を行う単細胞性緑藻クラミドモナスを用いて、母性遺伝の分子メカニズムやその意義について迫ろうとしています。

ひとこと

これまで偉大な先輩方の研究を支援されてきた稲盛助成に私も採択していただきとても光栄です。研究を発展させ、母性遺伝の謎に迫りたいと思います。

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