小林 曉吾 Kyogo Kobayashi

九州大学大学院理学研究院助教※助成決定当時

2024稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
場所に関する記憶の識別に関与する細胞基盤の解明
キーワード
研究概要
「自分が今どこにいるのか?」や「昨日どこに行った?」というように、場所に関する記憶を正確に獲得・維持することは、豊かな日常生活を送るためには欠かせません。場所に関する記憶の識別に異常が生じると、よく知っているはずの場所で道に迷う「徘徊」や、違う場所で起きた出来事同士を混同してしまう「過誤記憶」などが引き起こされてしまいます。私たちは最近、脳の中にある海馬と呼ばれる領域において環境認知に関与する脳神経活動の計測を行い、「環境細胞」という新規の細胞集団を発見しました(Kobayashi and Matsuo, Cell Reports 2023)。しかし、脳海馬には環境細胞以外にも、場所細胞や記憶痕跡細胞といった細胞も場所に関する記憶の形成に重要な役割を果たすことが先行研究により示唆されています。具体的には、「どの細胞」が「どのように活動する」ことで正常な記憶が成立し、また「どのように異常になる」ことで場所認識が破綻するのか、その詳細な細胞メカニズムは未解明の点が多く残されています。そこで本研究では、海馬細胞の網羅的な神経活動計測を行い、場所に関する記憶の識別に関与する細胞基盤の解明に挑みます。

助成を受けて

本研究では、海馬細胞の神経活動計測を通じて、場所に関する記憶の形成における細胞メカニズムを解明することを目指します。従来の研究では明らかにされていない海馬細胞の詳細な役割を明らかにすることで、正常な記憶の成立につながるメカニズムを明らかにします。

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