中村 友紀 Tomonori Nakamura

京都大学 大学院医学研究科特定助教※助成決定当時

2018稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
霊長類多能性幹細胞と初期分化細胞のキメラ胚作製による厳密な機能評価法の確立
キーワード
研究概要
ES細胞やiPS細胞は、生体すべての細胞に寄与する能力があると考えられており、マウスでは実際一個体すべての細胞へ寄与する能力があると証明されています。しかしヒトiPS細胞では、倫理的な問題からこの手の実証実験ができません。現在すでに再生医療や創薬研究などへ応用が始まっていますが、ヒトとマウスのiPS細胞には明白な違いがあり、真に生体における多能性細胞を模しているかどうか定かではありません。現状ではこのような細胞を使って、見切り発車で研究が進められています。
ヒトiPS細胞の真の能力を知るべく、私たちは最近カニクイザルをモデルに使用することで、霊長類iPS細胞が生体内のとある時期の多能性細胞に非常に近い形質を有していることを見出しました。しかし、機能面において真の多能性幹細胞というには個体全体に寄与する能力があるという証明が必要です。私は本研究計画において、カニクイザルを霊長類モデルとし、サルESC/iPSCの機能面において真の多能性幹細胞であるかどうかを検証したいと考えています。

助成を受けて

歴史と実績のある稲盛研究助成に採択いただき誠に感謝しているとともに、評価していただいたことに対し大変な栄誉に感じております。私はカニクイザルを用いた研究を通して、世界で誰も見ることのできなかった像(写真1)を見ました。その時、とてつもない刺激と興奮、研究の本質的な醍醐味を味わうことができました。多くの著名な基礎研究者を輩出された本研究助成ですが、私も後に続けるよう努力するとともに、もう一度あの経験をすべく研究の楽しさとやりがいを感じながら進んでいきたいと思います。

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