岡本 佳比古 Yoshihiko Okamoto
名古屋大学 大学院工学研究科准教授※助成決定当時
2019稲盛研究助成理工系
- 採択テーマ
- 新タンタル系材料を用いた革新的低温用熱電冷却素子の開発
- キーワード
-
- 研究概要
- 熱電変換は、物質中の電子が電荷だけでなく熱も運ぶことを利用した冷却・発電です。冷却したいところだけを冷やす局所冷却や、我々の身の回りにある温度差から電力を得る環境発電など、幅広い応用が期待されています。しかし、マイナス100 ℃以下の温度域では高性能な材料が得られておらず、ビスマス系の材料を利用した赤外線センサの冷却など、室温付近における限られた実用に留まっています。
我々は、そのような低温度域における実用水準の冷却・発電を実現する新材料として、タンタル系の新材料Ta4SiTe4に着目します。これまでの研究で、この物質が低温度域において現状の実用材料を大幅に超える高い熱電変換性能を示すことを明らかにしました。しかし、本物質は太さ10ミクロン以下の針状結晶でのみ得られており、通常、数mm角のバルク材料が使用される熱電素子にこの結晶をそのまま使用することはできません。様々な合成法を駆使して、これまで不可能であった熱電変換の応用の実用化に貢献できるような、バルク試料の合成を目指します。