森本 悟 Satoru Morimoto

慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエア特任准教授※助成決定当時

2025稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
筋萎縮性側索硬化症における病態回避機構の解明と治療法開発
キーワード
研究概要
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位・下位運動ニューロンの脱落を伴う進行性致死性疾患であり、異常リン酸化TDP-43の蓄積や細胞脱落の度合いに運動ニューロンサブタイプごとの差が認められる。脊髄前角・舌下神経核では著明な変性を示す一方、Betz細胞や動眼神経核は比較的抵抗性を有する。さらに、ALS脊髄運動ニューロンではFOX2B低下が脆弱性に関与することを明らかにした。これを踏まえ、本研究はiPS細胞と患者脳脊髄を用い、特定の神経における病態回避機構を解明し、DMT含む新たなALS治療法の開発を目指す。

助成を受けて

 今回の稲盛研究助成の採択は、ALSの病態解明と新たな治療戦略確立への大きな一歩と捉えています。ALSは上位・下位運動ニューロンの脱落を伴い、異常リン酸化TDP-43の蓄積と細胞脱落に運動ニューロンサブタイプごとの差異が存在する点が非常に興味深いです。この疾患的特徴は、疾患抵抗性の分子メカニズム解明に向けた重要な手がかりとなります。さらに、ALS脊髄運動ニューロンにおけるFOX2B低下が脆弱性に関与するという我々の知見は、従来の治療法では狙いにくかった新たな治療標的を提示するものです。
 本研究では、iPS細胞と患者脳脊髄を駆使して、特定の神経における病態回避機構を詳細に解析し、疾患修飾治療(DMT)を含む革新的なALS治療法の開発を目指します。今回の助成により、先端技術を積極的に取り入れ、多角的なアプローチでALSの根本原因に迫る研究体制を強化します。これにより、ALS患者のQOL向上と治療の進展に大きく貢献できる未来を目指し、国内外の共同研究者と共に研究を一層推進してまいります。

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