田中 啓祥 Hiroyoshi Y. Tanaka

岡山大学 学術研究院医歯薬学域助教※助成決定当時

2022稲盛研究助成生物・生命系

採択テーマ
膵がんにおける線維化障壁を克服するナノメディシン戦略の開発
キーワード
研究概要
理想的な薬物治療とは、有効(強い効果を発揮)であり、かつ安全(副作用が少ない)なものです。一般に、がんにおいては、血管構築が未熟であり、さらに排出系であるリンパ管が未発達であるために、直径十~数百ナノメートルの大きさを有するナノメディシンはがん組織において特異的に漏出・集積すると考えられています(これを「enhanced permeability & retention = EPR効果」といいます)。EPR効果は、有効かつ安全な抗がん薬物治療を可能にすると期待されています。ところが、難治で悪名高い膵がんにおいては、顕著な線維化組織が腫瘍細胞を血管から隔てるように存在します。こうした「線維化障壁」がナノメディシンの膵がん組織内への到達を阻み、治療効果が不足することが明らかとなってきました。本研究では、細胞外基質タンパクに起因するシグナリングに着目し、膵がんにおける線維化障壁形成のメカニズムならびにその治療的な標的化法を明らかにすることを目指します。

助成を受けて

稲盛研究助成に採択していただき、誠にありがとうございます。大変光栄に思うと同時に身の引き締まる思いです。本研究を通じて、少しでも膵がんの治療成績改善に貢献することができるよう、努力していきたいと考えています。

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