柳沢 史明 Fumiaki Yanagisawa

東京大学 大学院人文社会系研究科助教※助成決定当時

2019稲盛研究助成人文・社会系

採択テーマ
芸術史と宣教学史を介した《文明化の使命》の解明:カトリック宣教団によるAOF(フランス領西アフリカ)の造形文化表象に関する研究
キーワード
研究概要
 西アフリカの造形物はかつて「偶像」「呪物」などと紹介され、一神教的な西洋と対比されてきました。こうした図式の流布に少なからず関与していたのが19世紀後半から20世紀初頭のキリスト教宣教師たちでした。というのも、政教分離が進み反教権主義的な思潮の高まりのなかで、信徒拡大の新たな領野こそ植民地アフリカであり、「キリスト教化」が「文明化」、さらには「植民地化」に寄与するというロジックを様々な仕方で実践していたからです。
 時同じくしてアフリカの造形物が美術家や批評家らによって「芸術作品」として認識されはじめると、宣教師らもアフリカの造形物の積極的な紹介、保護、刷新へと方向を転換させていきます。このように、20世紀初頭のアフリカの造形物をめぐる認識の変化は美術界のみならず、宣教の文脈においても生じており、現地での布教実践を介してその認識の変化はより直接的な形で現れてきます。この研究では、宣教と芸術の歴史研究を通じて、アフリカの造形物の表象を探るとともに、「文明化の使命」と呼ばれる植民地主義のスローガンを再分析したいと考えています。

助成を受けて

多領域にまたがる「野心的」な研究に助成していただき厚く御礼申し上げるとともに、マイナーな研究にとどまらずに多領域な研究ネットワークを少しでも構築できるよう邁進する所存です。

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